バリー(ジェイ・ギャラガー)の幸せな家庭は一転、突然ゾンビとなってしまった妻子を自身の手で殺すことに。バリーの妹ブルック(ビアンカ・ブラッドリー)も、軍隊に救出されるも変態科学者に酷い目に合わされてしまう。
危機的状況の中、怒りの込もった二人の復讐が始まる…
というストーリー。
これだけゾンビ映画が世の中に溢れると、やっぱり地域ごとの特色をだしてかないと差別化は難しいよねってんで、フランスはサッカーで『ゴール・オブ・ザ・デッド』を作った。
オーストラリアならどうする?アボリジニはありきたりだし、コアラ?カンガルー?動物はハズレる可能性が高い。
なら『マッドマックス』があるじゃないか!ということで、これはもう当然というか必然のコラボ。日本がヤクザやサムライでやるようなものだ。
ところが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に似ているかというとそうでもない。こちらの方が公開は先なので、邦題がノリでやったと思われる。
ともかく、ドライな映像とは裏腹に映画からは溢れんばかりの熱意が感じられる。
手の込んだ装備や改造トラックの雰囲気は確かに『マッドマックス』を彷彿させるし、ゾンビの迫力もバッチリだ。
特筆すべきは斬新な設定。
既存の化石燃料は役に立たなくなり、ゾンビの血液が燃料の代わり。
なんて(都合のいい)優秀なゾンビだろうか、エネルギー問題解決しちゃったよ!
生物(?)それぞれ役割があるんだよやっぱりね。
そのため、トラックには燃料代わりの生きた(?)ゾンビが積まれている。
それに関連して昼夜でゾンビの活発さが違う点なんかもうまく理由付けされていた。
ゾンビ映画なら適当でも大目に見てもらえるのに、よく考えられた設定だと思う。
その他にもこの映画のゾンビはとっても有用で、詳しくは映画本編で見て欲しいが、前半と後半でゾンビの役割が大きく変わるところも面白かった。
で、登場人物たち。みんな頭の切り替えが早い。
仲間がやられても自分が感染しても案外冷静に状況を受け入れている。お国柄だろうか?
感情に任せて破滅しがちな『ウォーキング・デッド』の人たちに見習って欲しいものだ。
そんなこんなで、スピーディーに展開していきあっという間に終わってしまうのだが、よくよく考えると内容は薄い。
逆にあれだけのストーリーで100分間退屈させることなく見せきったなと感心する。
閉塞的で世界観がよく見えなかったので、もっとストーリーに広がりがあれば良かったのに実に残念!
監督のキア・ローチ=ターナーは映像制作の仕事をしていたものの、長編映画はこの作品が初ということらしい。
続編の製作が決定しているのでこれは期待したい!
ゾンビマックス!怒りのデス・ロード!(原題:Wyrmwood/2014年/オーストラリア)