ゾンビだらけの世界で恋人の帰りを待つ男「ウォーキングZ」映画レビュー

「ウォーキングZ」…。なにこのやる気のない適当なタイトル。
でも映画は意外にやる気があった。恋人の帰りを信じ一人でサバイバルする男のドラマが渋い。

ゾンビアポカリプスが起きたイギリス。
映画の主人公スコットはたった一人でゾンビから隠れながらサバイバルしている。
腕っぷしが強いようで、いざゾンビに襲われてもあっさりとやっつけてしまう。おまけに銃も持っているのでそう簡単にやられそうもない。

察した…この映画のゾンビに怖さはない。ただの雑魚だ…。

ゾンビから逃れるために人の少ない田舎に移ってきたこともあり、町にはほとんど人はおらず、スコットと一緒にサバイバルする仲間もいない。
スコットは鏡に写った自分と会話できるくらいハイレベルなぼっち

それでも自分以外にも話し相手がいて、無線でやりとりできる夫婦がいる。その夫婦と近況報告なんかを定期的にしているらしい。
しかし、その夫婦も途中で悲しい決断をしてしまう。長年連れ添った夫婦はどんな形でも最後まで一緒にいることを選んだらしい。

あまりの悲しみにスコット号泣…。本当に一人ぼっちに。

ゾンビアポカリプスが起きた頃、スコットは恋人のベスと一緒にいたらしい。
しかし、彼女はスコットに黙ってロンドンの家族のもとに行ったきり音信不通となってしまった。
それでもベスが戻ってくると頑なに信じるスコットは、物資の少なくなったその土地でひとりサバイバルを続けている。なにその男前な理由

昼間は勇敢に物資を集めたりゾンビと闘ったりするスコットも、夜になると恋人ベスを思い出してメソメソ

スコットのサバイバルとベスとの回想シーン。映画の前半部分はそれの繰り返し。
しかし、あることがきっかけでストーリーが大きく動き出す。

ベスは戻ってくるのか?世界は元に戻るのか?
ヒーロー願望があるのに恋人を守れず「ヒーローになれなかった」と語るスコットはどうなるのか?

後半は見所が多く、悲しいストーリーもさらに悲しくなる。と同時にゾンビの存在も空気に…

映画はゆっくりとしたペースで進行するし、中身も濃いわけじゃない。後半のストーリー展開も強引な部分が目立つ。
それでもスコットの行く末が気になって最後まで楽しく見れたし、終末世界で一途な愛を貫こうとする男の姿にうっすら感動すらする。

その他にも、美しく撮られたイギリスの風情のある景色。場面を静かに盛り上げるピアノの旋律。それらが映画の世界に引き込ませ、また場面を印象的にしている。

ホラーとしてはいまいちだけど、低予算でも丁寧に作られたゾンビ映画だと思う。

ウォーキングZ(原題:Wasteland/2013年/イギリス)

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