過酷な状況もポジティブさで乗り切るよ!陽気な火星サバイバル!「オデッセイ」 レビュー

star5

さすがリドリー・スコット監督。
やっぱりすごかった。

作品全体からポジティブさが溢れている。
なんでその状況でそんなに楽しそうなの?と思ってしまう。

事故により火星にひとり取り残されてしまった宇宙飛行士のマークは、絶体絶命な状況でもあきらめない。

あくまで生還を目標とした行動には一切の迷いがない。
ユーモアを混じえながら次々と問題を解決していく姿は楽しそうにも見える。
植物学者の知識を活かして、火星でじゃがいもを育てるという発想が面白い。

この映画には、NASAの協力のもと、最新の科学的な知識がふんだんに盛り込まれている。
それらが問題解決の鍵として上手く機能しており、ストーリーを盛り上げている。

専門的なことはよく分からないが、とにかく知識とアイディアが豊富に詰まっており、単なる娯楽作品とは一線を画したものを感じる。

舞台が地球ですらないという過酷な状況でのサバイバルなのだが、映画からは悲壮感めいたものはほとんど感じなかった。

よく似た題材の映画に『ミッション・トゥ・マーズ(2000年)』があるが、あちらは悲壮感満載だったように思う。

こちらの映画の主人公はとにかくポジティブとユーモアの塊のようなやつで、一人でもビデオカメラに向かってふざけている。

音楽も印象的だった。

基地に残された唯一の音楽が、ABBAなどの70年代のディスコミュージックなため、劇中のBGMはやけに明るい。

さすがリドリー・スコットの映画だけあって、映像は本当に美しいと感じた。

荒涼とした広大な火星の景色(実際はヨルダンでロケをしたらしい)、宇宙船のある壮大な宇宙。
目を奪われること必至で、SF映画の醍醐味を存分に堪能できる。

気になった点は、作品のムードが明るいため、緊迫感があまりないことかもしれない。

主演のマット・デイモンはあいかわらず愛嬌のある演技で好感度が高い。
自然に観客の心を掴んでしまう。
後半は食料制限のために痩せ細った体を披露しており、役者魂を垣間見た。

『アントマン(2005年)』で個性を爆発させていたマイケル・ペーニャが出演していたことも個人的に良かった。

マーケットやスポンサー企業の影響もあるだろうが、米中友好アピールを映画から感じざるをえない。

劇中中盤で、窮地に陥ったNASAに救いの手を差し出したのは、なんと中国である。
中国製のロケットで見事NASAを救ったのである。

この近未来ならありえなくもない微妙なリアリティ。
近年のハリウッドの大作映画では、中国の存在感が日増しに大きくなってきていたが、とうとうここまで来たかという感じがする。

昔の映画ではこの役割は日本やロシアだったから、時代の移り変わりを感じる。

サバイバル映画だが、悲壮感はないため終始楽しく鑑賞できる。
ヒステリックな場面もないため、後味の爽やかさは突き抜けている。

ラッキーや都合の良さに頼らず、知識とアイディアを活かして、これだけのシナリオを完成させたことは、本当に偉大なことだと思う。

この映画は本物のサイエンス・フィクションだ。
間違いなく万人にオススメできる大作SF映画だ。

オデッセイ(原題:The Martian/2015年/アメリカ)


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