幸せな最期とは?「ハッピーエンドの選び方」レビュー

star4

安楽死を扱ったイスラエル映画。※ネタバレあり要注意。

発明が趣味のヨヘスケル(ゼーブ・リバシュ)は、延命治療に苦しむ親友のため、自分で安楽死できる装置を発明する。
しかし、ヨヘスケルの妻レバーナ(レバーナ・フィンケルシュタイン)に、それは殺人行為だと激しく非難される。
それでもヨヘスケルは親友のため、妻の反対を押し切って安楽死を実行する、、、

この映画を楽しむためにイスラエルという国の基本情報を少しだけ。

イスラエルは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地エルサレムがあり、古代から各宗教が聖地を巡って争ってきたややこしい土地にある。

イスラエルはOECD(経済協力開発機構)に加盟している先進国なので、経済・科学・医療・インフラなどは高い水準にある。

長く近隣諸国と戦争状態にあったため軍需産業が発展しており、世界有数の兵器輸出国でもある。
近年はIT産業の発展が目覚ましく、中東のシリコンバレーと呼ばれている。

ユダヤ教徒が国民の3/4を占めており、次いでイスラム教徒が多く、キリスト教徒は少数。

で、そのイスラエルでは安楽死は違法行為であり、ユダヤ律法でも自殺は禁止されている。
イスラエル・ユダヤ人にとって安楽死は禁忌なのだ。

登場人物たちの宗教観は分からないが、そういう環境で安楽死を望むことは想像以上に切実な思いがあるのは間違いない。

ちなみにヨヘスケルの行為は、日本だと刑法第202条の自殺幇助罪となり6ヶ月以上7年以下の懲役または禁錮になる。

数人の安楽死に立ち会ったヨヘスケル。初めは反対していたヨヘスケルの妻レバーナも、実際に安楽死を望む人の声を聞き考えを変えていく。彼らは皆、家族に見守られ幸せな最期を迎えていた。

ヨヘスケルの妻レバーナは認知症を患っており、日に日に症状は悪化している。本人も自分が自分でなくなっていく不安に悩まされており、遂には安楽死に興味を持ち始める。

娘に宛てたビデオメッセージで「母親としての姿をあなたの記憶に残したい」と語っている。大切な人だから自分らしい時の記憶のままでいて欲しい。悲しいけど優しさに溢れた言葉だと思う。

安楽死についての是非はあるかもしれないけど、少なくともこの映画の場合は、最大限に本人の意思を尊重した結果なので、否定する人は少ないように思う。

それに、映画を鑑賞すればヨヘスケルの行為の善し悪しはどうでもいいことだと思えるはずだ。
本人の意思、周囲の理解があればその選択は正しいことだと思わざるを得ない。
この映画はそれだけの説得力を持っている。

シャロン・マイモン&タル・グラニット監督の手腕・脚本はとても素晴らしく、人生の最期というテーマを爽やかに描きつつ、しっかりと考えさせられる内容となっている。

何度見ても涙が止まらない。でも悲しいだけじゃない、最高にロマンチックな映画でもある。

ハッピーエンドの選び方(原題:The Farewell Party/2014年/イスラエル)


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