東京でカメラマンをしていた佐々木(阿部サダヲ)は、リストラと離婚が重なり心はボロボロ。
気分転換に沖縄へ旅行することにした佐々木は、どうせなら南の端まで行ってやろうと僻地の島に辿り着いた。
その島で出会うおかしな連中(ピエール瀧、浅野和之、斉木しげる)、新たにやって来る旅行者たち(永山絢斗、佐々木希、貫地谷しほり)、彼らとの南国での生活が始まる…
作品時間は2時間弱もあるが、内容は乏しくただダラダラと過ぎていったという印象。
南国のゆったりした時間の流れは上手く表現されておらず、退屈なだけだった。
誰しも、忙しい日常とかけ離れた南国での自由な生活への憧れがあると思う。
この映画の観客は、それを映画で疑似体験してみたいという欲求が少なからずあるはずだ。
自分もそうだったが、この映画にはそんな欲求を満たすものがなかった。
まず、南国をそれほど感じない。
海は綺麗だが、その辺の浜辺で撮影しても変わらないくらいの映像しかなかった。
ドラマも意地の悪い阿部サダヲばかりが目立つ。
その肝心の主役の阿部サダヲがつまらなかった。
阿部サダヲの心理がよく語られるのだが、そのセリフがつまらない。
阿部サダヲ自身はもちろん面白い人なのは周知の通りなので、細川徹監督・脚本のセンスのせいか?
特にコメディセンスのなさを感じたのは、土下座に光が差す演出。
あれは思い出しても寒気がする。しかし、監督のお気に入りのようで2回も入れ込んできた。
その他にも、時間の使い方にムダが多く編集が雑。
前半はドラマが少なく退屈、仲間が増えて盛り上がってきたかと思いきや、急にバタバタした挙句、尻切れとんぼのように唐突に終わる。
結果的に新たな冒険家(放浪者?)が誕生するまでの物語として見れなくもないが、そこに至るまでの描写が足りないせいで、ただの主人公の気まぐれな行動で終わったように映る。
この映画を悪くした責任は、監督が70%、阿部サダヲが30%だ。
この映画は、ほとんどが阿部サダヲの出番といっていいほど阿部サダヲ色が強い。
しかし、十分な出番が与えられていたにも関わらず面白くなかった。
その罪を例えるなら、十分な持ち時間を与えられながらスベったお笑い芸人のようだ。
その他のキャストは、映画に合う合わないは別として良かった。
永山絢斗は、好感が持てる演技だったし、貫地谷しほりと佐々木希の関西美女コンビも良かった。
この映画の収穫は、佐々木希のヘタな関西弁は可愛いとわかったことだ。
ぱいかじ=南から吹く風
ぱいかじ南海作戦(2012年/日本)