堂園つぐみ(榮倉奈々)は、仕事と失恋で人生に疲れきっていた。
亡くなった祖母の家に移り住むことにしたが、空き家と思っていたその家には、海江田醇(豊川悦司)という見知らぬ男が住んでいた。
親子ほども年の離れた二人の奇妙な同居生活が始まる、、、
というストーリー。
原作を知らないので、不倫的なドロドロした展開を勝手に想像していた。
だが実際は、人生に疲れた女が年上の男と交流して元気を取り戻していく話だった。
テンポとユーモア、季節とロケーションの良さもあり、爽やかな映画だった。
このあたりは、廣木隆一監督らしいと思った。
恋愛映画を本当に多く監督しているが、『余命1ヶ月の花嫁』のように重い話でもあっさりと見せれてしまう。
その『余命1ヶ月の花嫁』でも主演だった榮倉奈々が主演をしている。
彼女が演じる堂園つぐみは、人生に疲れ切っている。
そんなくたびれた感じがよく出ていたし、一貫して抑えめの演技で主人公の控えめな性格が分かりやすかった。
ただ、後半は幸せになってきているのに、前半と同じトーンでギャップが弱かったのが残念だった。苦労の末にやってきた幸せだったので、もっと輝いて見せて欲しかった。
その榮倉奈々の相手役に豊川悦司。
そのトヨエツ演じる海江田醇は、大学教授でつぐみの祖母の元教え子。
人に厳しく言葉に遠慮がないキャラクターはなんとも味わい深い。
情に深く何が大切かよく分かっている性格で、昔の良い大人という感じがする。
関西弁で喋る豊川悦司に違和感を感じつつ(トヨエツ自身は根っからの関西人)、無遠慮でマイペースな好感度のよろしくない独身男がいい感じだった。
白シャツと下駄姿もよく似合っていた。
ストーリーの方はだいたい予想通りの展開で、子供のくだり、台風の展開はなんだか既視感がすごかった。でも、起きる出来事ひとつひとつが楽しいので退屈はしなかった。
原作が女性向けの漫画なためか、女性の願望が具現化したようなトヨエツのキャラクターにメルヘンを感じる。
要約すると、婚期を逃した女性のもとに、年は離れているけど知名度の高い大学教授で、頭良くてルックスも良くて、少しキツイけど優しい男が突然現れ、なりゆきで同居することになって積極的にアプローチしてくるという。
知らないけど女性向けの漫画って全部こんな感じか?
つぐみを好きになった理由が、「ええ女やから」というだけなのもなんだかいい加減な気がする。
もう恋愛はしないはずだった男が惚れる理由としては説得力がない。チャラくないか?
たしかにええ女やけど。
男女の関係になるくだりも唐突過ぎて、手出すの早いなという印象。
長い間、恋人がいなかった男とは思えない手際の良さで、若い時は相当遊んでいたに違いない。
恋愛に疲れた時、良い恋愛に出会えない時に見ると、たぶん心が暖かくなる映画。
田舎暮らしや、広い古民家での生活なんかも目と心の保養になっていい。
「練習や思うて僕と恋愛してみなさい」
娚の一生(2015年/日本)