マッチョもゾンビ化には無力「マギー」レビュー

star3

ある女の子がゾンビになっていくまでを、彼女と彼女の父親の視点から描いた映画。

『ウォーキング・デッド』などゾンビものでは定番の家族・恋人が感染してしまうケース。この映画はその部分だけを抽出した作品。

感染するとゾンビ化するウイルスが蔓延した近未来。
アメリカの片田舎に暮らすウェイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)の娘マギー(アビゲイル・ブレスリン)もウイルスの感染者。

この映画のウイルスは残酷で、感染後発症するまで6~8週間もあり、発症直前まで自我を保っていられる。つまり、感染者本人とその周囲の人たちは悩み苦しむ時間がたっぷりと与えられているということ。
しかし、いくら悩み苦しんだとしても結末は確定している。

それはまさに世にある不治の病のように、、、
ん?まさかこの映画も『ゾンビ・リミット』同様、ゾンビ関係なくても成立する話か?
まーやっぱり映画的にはゾンビの方が良いよね(?)

で、そのゾンビウイルスの前には誰しも無力
その無力さが父親役のシュワちゃんを通して痛いほど伝わってくる。

感染した娘を病院から家に連れ帰ってきてもあまり娘のそばにいない。燃料の供給がないのでいつも薪を割っている。

普通に振る舞うことで心配させない気遣いを感じる一方、そういう作業に打ち込むことで考え込まないようにしているようにも見える。現実逃避しているのだ。

友人の警官にも将来を考えろというようなことを散々言われているので間違いないと思う。

その父親を始め、この映画の登場人物たちは優しい人が多い。
優しい人ほど「決断」を先延ばしにしてしまっている。現実を直視できずにいるのだ。
先延ばしにしても苦しみが長くなるだけなので、もうどうしようもなくやるせない

でも実際、自分がこの映画の登場人物たちのような状況なら、やっぱり同じように行動する気がする。そう簡単には家族は見捨てられないし、自分が感染しても容易く諦められない。
現実逃避したくなるのも納得だ。

全編悲しみに包まれたずっしり重い映画。
淡々と進行するため退屈と感じるかもしれないけど、映画の結末をしっかり受けとめるためには途中の心理描写を逃さず見ておく必要がある。

父親の選択は?娘の選択は?

結末で娘は何を思うのか?

マギー(原題:Maggie/2015年/アメリカ)


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