壮絶といえるアクションの連続で、まさにMADがMAXな映画だった。
アクションシーンでは、
トラックやタンクローリーなどの重量級の車が凄まじい迫力でカーチェイスし、
とんでもない火薬の量がそこかしこで大爆発を起こし、
スタントマンがひとりふたり死んでてもおかしくないアクションが繰り広げられる。
とてつもない大迫力のアクションが連続するので、見ているこちらも手に汗握りっぱなし。
大迫力の砂嵐、厳しい環境を感じさせる荒野、幻想的な霧に覆われた夜、静と動を織り交ぜた映像は間違いなく最高水準。
しかし、アクションと映像が素晴らしい一方、物語は単純。
逃げる理由のある者が逃げ、追う理由のある者が追う。
そこに新興宗教的な要素を入れただけ。特に目新しさはない。
内容はかなり薄いがこれでいいのだろうか。
マッドマックスといえば、かなりコアなファンを持つシリーズだ。
シリーズ初期の作品なら、アクションを強調するだけで良かっただろう。
しかし、この映画はシリーズの4作目で前作から27年ぶりの作品だ。
つまり、オリジナルのファンはそれなりに年をとっている。
彼らが鑑賞して納得するだけの作品だろうか?
タイトルだけの別物の映画になってないだろうか?
監督はシリーズ全ての監督・脚本を手掛けたジョージ・ミラー。
マッドマックスは彼が作った作品だから、彼が作る新作も正しく続編なのは間違いない。
それゆえ観客は、過去作品との関連付けがほとんどないにも関わらず、シリーズ作として自然に鑑賞してしまっているように思う。
鑑賞した感じでは、マッドマックスというタイトルでやる意味が、商業的な話題作りだけに感じた。
観客はオリジナルのファンだけではない、27年も歳月があれば過去作品を知らない若い世代も鑑賞する。
しかし、残念ながらこの映画は、過去の作品を遡って見たくなるような興味付けができていない。
このことからも、シリーズタイトルでやる意味が見出だせなかった。
映画は本当に面白いのだが、監督の悪趣味が作品全体に溢れており印象が悪い。
全身白塗りのメイク、身体欠損、母乳を搾られる太った女性、メタル音楽、乳首ピアスを露出した服を着ている男などなど、監督の悪趣味を無理やり見せつけられているようで嫌悪感がした。
そんな環境の中で、急に美女達が登場する。
メイクばっちり、ヘアスタイルばっちりで、世界観に合わな過ぎるがしょうがないと言わざるをえない。
そうでもなければ、映画の印象が汚くなり過ぎてしまう。
期待せずに鑑賞したので、まあこんなものかという感じ。
自分は少し趣味が合わなかったが、最高峰のアクション映画であることは間違いない。
変なポエムで終わるところも嫌いだ。
マッドマックス 怒りのデス・ロード(原題:Mad Max Fury Road/2015年/オーストラリア・アメリカ)