人間を冬眠させるという軍の極秘実験に選ばれたのは、平均的アメリカ人のジョー(ルーク・ウィルソン)とリタ(マーヤ・ルドルフ)。
1年で終わるはずだった実験がトラブルにより500年後に目覚めることに。
26世紀の人類の知能の低下はすさまじく、ジョーは世界一の知能を持つ人間となっていた…
適当なコメディかと思いきや、意外にもちょっと考えさせられる映画だった。
なぜ未来の人類の知能が低くなってしまったかというと、知能が低い人達の方が子作りに積極的だった結果、500年後は知能の低い子孫だけになってしまったということらしい。
そんなことにはならないだろうと思いつつ。ありえなくもない謎の説得力。
500年後の人類の知能はどれくらい低いかというと、未来のIQテストはこんなので、
「1つのバケツに水7.5リットル、もう1つのバケツに水19リットル」
「バケツは全部でいくつ?」
水の量関係ないし!想定外過ぎて逆にちょっと考えたし!
どうも考えること全般が苦手らしい。
どれくらいバカなのかは映画を見て確認して欲しい。きっと想像以上だと思う。
当然そんな人類が社会を構築するのは難しく、いい加減な政策によって深刻な食糧難となっている。
そして、それを解決できる頭脳を誰も持っておらず、知能の低さは生命の危機に瀕するほどに。バカここに極まれり。
散々ひどい未来の姿を見せられた最後は、もう一度健全な社会を取り戻すために国民それぞれが「考えよう」「学ぼう」という内容の演説で締めくくられる。
これは「勉強しないとこんな未来になっちゃうよ?」という現代人への警告だろうか?
しかし、勉強する気のない人に勉強をしろと言っても難しい。
それに、そもそもの問題は、知能の低い人たちが制限もなく本能の赴くままに子孫を増やし続けたことにあると思う。
もしこれを解決するなら、親のIQによって産める子供の数が決まるなどの政策をとるしかないような気がする。問題多すぎるし無理だけどね。
平凡な男が未来で天才扱いされて大活躍という映画を予想したけどそうではなかった。
未来でも平凡さは変わらず。ただ直面している問題をなんとかしようと必死に考えて行動しただけだった。
意外に芯のある映画。
やっぱりアメリカのコメディらしく下品なネタが多めなので苦手な人は注意。
とても酷いことになってしまっている未来の雰囲気が楽しい。
20世紀少年に便乗した邦題のセンスはいただけない。
監督のマイク・ジャッジは90年代MTVの人気アニメ『ビーバス&バットヘッド』の原作者らしい。なるほど登場人物のヤンキー感は通じるところがある。
26世紀青年(原題:Idiocracy/2006年/アメリカ)