ZQNが迫力満点「アイアムアヒーロー」レビュー

star4

※ネタバレ注意。

花沢健吾原作コミックの映画化作品。

漫画家アシスタントの鈴木英雄(大泉洋)が、仕事を終えて彼女の家に行くと彼女は変わり果てた姿になっていた。
突如として日本中に謎の感染が蔓延し、「ZQN」と呼ばれる感染者達が人々を襲いだしていた。
英雄は逃げる途中で知り合った比呂美(有村架純)、辿り着いたショッピングモールで藪(長澤まさみ)と出会う、、、

まわりの原作ファンの間では評価がはっきりと分かれているこの映画。なので期待半分不安半分だったけれど、映画は予想以上の出来で正直驚いた。
原作の魅力はそのままで、アクションの迫力が並のゾンビ映画よりずば抜けて高かった。

映画の方は、「アイアムアヒーロー」というタイトルが強調された内容にアレンジされていて、原作のドラマをかなりダイエットして英雄の成長にフォーカスしたおかげで、ストーリーが分かりやすく感情移入もしやすかった。

ずっとヘタレだった英雄が終盤で見せる奮闘ぶりは感動モノで、この展開こそ日本のコミックの醍醐味だと思う。

主役の大泉洋は原作コミックそのままかと思わせる雰囲気で、さらに彼らしい愛嬌を追加している。ヒロインの有村架純と長澤まさみもそれぞれ違った魅力を発揮していて画面に華を添えている。

確かに原作と比べると英雄の性格の描写は不足しているし、展開も急だと感じる。
英雄が彼女を手に掛けてもほとんど感情を見せないのも、比呂美が家族や友人を気にかけることもないのには正直違和感があった。

佐藤信介監督は、『GANTZ』や『図書館戦争』でもそうだが、どうも登場人物の感情が若干薄くなりがちな感じがする。

でも、丁寧に進行する原作に忠実にしていたら、2時間の上映時間ではショッピングモールまで到底辿り着けない。
原作中最大に盛り上がったショッピングモール編を見せない訳にはいかないので、ドラマを端折るのは仕方ない。

その分、ショッピングモール編の盛り上がりは原作を超えていると思った。
ありがちな展開といえばそうだけど、定番を楽しんでこそのゾンビ映画だと思うし、そこにどれだけ緊張感を持たせられるかが大事だと思う。

その点この映画は、頼れるのは英雄(と銃)だけ。おまけに彼がヘタレという足枷付き。
で、襲ってくる敵はというとダッシュも出来る怪力な超人ゾンビ(ZQN)、その姿は過去に見たゾンビ映画の中でもトップクラスの気味悪さ
生理的にじわじわくる恐さはさすがジャパニーズホラー、ハリウッドのゾンビとは一味違った

邦画のゾンビ映画では間違いなく最高峰だし、アクション映画としても見応えがある。

原作コミックの人気のおかげだけど、邦画でこれだけ本気のゾンビ映画が作られたのが本当にうれしい。
どうかこのクオリティのまま続編を。

もしもの時のゾンビ対策に「腕時計をたくさん付ける」を憶えておこう。

アイアムアヒーロー(2016年/日本)


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