1930年代のパリ、モンパルナス駅。
孤児のヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、駅の時計のねじ巻きの仕事をしながら構内に隠れ住み、父が遺した機械人形の修理を生きがいとしていた。
駅でおもちゃ屋を営むジョルジュ(ベン・キングズレー)と彼の娘イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と知り合いになり、一人ぼっちだったヒューゴの生活は変化していく。
そしてついに完成した機械人形から驚くべき秘密を知ることになる、、、
物語はヒューゴ少年によって進められるが、映画の本当の主役はジョルジュ・メリエス。
実在の人物で、彼についてWikipediaで調べるとユニークかつ偉大な人物ということが分かる。
いわゆる映画の特殊効果の生みの親で、世界初の職業映画監督。
以前はマジシャンをしていたという異色の経歴で、映画の成功はその経験によるものが大きいらしい。
彼の考案した特殊効果は数多く、まさしく映画に革命を起こしたとても重要な人物。
劇中の彼にまつわるエピソードの多くは事実らしく、映画を作り続けた彼の人生もまた映画のような人生だったみたいだ。
孤児、機械、時間、映画。
あまり多くないキーワードがしっかり映画に活かされており、一貫性があってまとまりがある。
ストーリーはシンプルで分かりやすい。
孤児のヒューゴが父の遺した機械人形を修理する。それがきっかけとなり、運命的な出会いによってジョルジュの心を救うことになり、ヒューゴ自身も救うことになる。
駅で働く個性豊かな人々の群像劇としても楽しめるので映画は飽きない。
物語は途切れることなく一定のリズムで流れるようにスムーズに進んでいく。
早過ぎず遅過ぎず心地良いリズム。
さすが巨匠、万人受けする映画の技術をまたひとつ知った気がする。
産業革命時代をデフォルメしたような世界観も面白い。
駅の中を自由に動き回るヒューゴの生活には童心をくすぐられる。
キラキラと眩しい映画の雰囲気からは、マーティン・スコセッシの映画への憧れが表れているような気がした。きっと今でも子供のように映画に夢を抱いているんだろう。
大人も子供も楽しめる、暖かくて夢に溢れた普遍的な魅力を持つ良質なファンタジー映画。
「夢はどこで生まれると思う?」
ヒューゴの不思議な発明(原題:Hugo/2011年/イギリス・アメリカ)