お節介が温かい「阪急電車 片道15分の奇跡」レビュー

star4
『図書館戦争』の有川浩原作の映画。
監督は三宅喜重。この作品以降も『県庁おもてなし課』『レインツリーの国』で有川浩原作映画の監督を任されている。

阪急電車の車内で、たまたま居合わせた赤の他人同士が相互に関係していき、新しい人生の一歩を踏み出していくという群像劇。

登場人物たちはそれぞれに悩みを抱えており、婚約者(鈴木亮平)を寝取られた女(中谷美紀)、DV彼氏の言いなりの女子大生(戸田恵梨香)、孫(芦田愛菜)を連れた息子夫婦と上手くいかない老女(宮本信子)、社会人の彼氏(玉山鉄二)と付き合う女子高生(有村架純)、主婦同士の交流に疲れた主婦(南果歩)、周囲の人間関係に馴染めない大学生2人(谷村美月、勝地涼)。

出演者はとても豪華。実力のある人たちが多いので安心感がある。
登場人物は多かったけれど、それぞれの人物についてはあまり深く掘り下げないし、悩みも複雑ではないので迷うことなく鑑賞できる。反面、一つ一つのエピソードは物足りないかもしれない。

映画冒頭で言われるように、それぞれが抱える悩みは死ぬほどのことではない。
すべての悩みの原因は人間関係にあると言った哲学者がいるように、彼らの悩みもまた人間関係が原因。

悩みの原因が人間関係なら、その解決方法もまた人間関係だったりする。この映画は、阪急電車という限定された場所で、新しい出会いによって救われた人々の物語。

その悩みの解決方法も一時の誤魔化しではなく、自己の成長や自分の居場所を見つけることによって解決している。アドバイスや忠告も、それぞれが自身の経験から得たもので身の丈以上のことを言っていないので説得力がある。

この映画の登場人物たちの悩みに共通点があるとすれば、相手に自分を理解しようとしてくれる気持ちがないことだと思う。
それは優しさがないというのとは少し違うかもしれない。主婦友達やDV彼氏のように悪気がない場合もある。価値観の相違というのが一番しっくりくるかもしれない。

そこで大事なのが、お互いの価値観を理解しているかどうか、理解しようとする気持ちがあるかどうか。
相手が自分を理解しようとしないなら、映画のように関係を絶つのもひとつの方法かもしれない。でも、相手を理解し自分を理解してもらう努力が先にあっても良かったんじゃないかと思う。
関係を閉ざしてばかりでは、狭い自分の価値観だけに囚われてしまうかもしれない。

たとえ反面教師であっても違う価値観の相手から得るものは確かにあるし、自己を理解することにもなると思う。でもどうせなら、出会った人に良い影響を与える人になりたいよねって感想。

タイトルには奇跡と付いているが、これを奇跡の物語だとは思わない。偶然起こった出来事ではなく、相手の為を思い勇気を出してお節介した物語だ!

バスタオル一枚の有村架純が見れたからラッキー!

阪急電車 片道15分の奇跡(2011年/日本)


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