白銀の世界と進化したゾンビ「ハーモニー・オブ・ザ・デッド」レビュー

star4

ゾンビアポカリプスから9年後、雪深い小さな町“ハーモニー”で静かに暮らすジャック(ジェフリー・ドノヴァン)と娘のルー(クイン・マッコルガン)、謎の多い隣人パトリック(マシュー・フォックス)。
ある日、絶滅したと思われていたゾンビが脅威の進化を遂げて姿を現す…

ゾンビ映画っぽい感染パニックは冒頭の10分くらいで終わり。すぐにゾンビの脅威が落ち着いた9年後の世界に移る。
9年後は、頑丈なフェンスとバリケードを備えた家と、極寒の自然環境によってゾンビの脅威から守られている。
なので、次々に襲いくるゾンビから逃げるような映画を期待して見るとハズレかもしれない。

その代わりドラマに重点が置かれていて、ある種ミステリーのように推理しながら鑑賞することになる。
映画的には地味な展開なんだけど、なぜジャックとパトリックは仲違いしたのか?母親はどうしたのか?外の世界は?など、9年間に何があったのか徐々に明らかになっていくのでストーリーへの興味が尽きない

ゾンビは環境に適応し進化したという設定。詳細は語られなかったけど、おそらく感染を引き起こしたウイルスの作用によるもの。
目は退化していて視力の代わりに耳が発達し、爪と牙が生えて猿のように身軽になっている。寒さに対応するため皮膚が進化し、毛の無い厚く白い肌になっている。野生動物が主食のためなのか口の周りが血で汚れている。
その見た目を的確に表現すると口の周りケチャップだらけの白塗り全裸のハゲ。

冗談みたいに表現したけど実際はかなり恐い。リスみたいな毛むくじゃらのカワイイ系に進化しなかったのが悔やまれる。

それはさておき、ゾンビアポカリプス時は赤ん坊だったルーは、以前の世界のこと、町以外の外の世界を知らない。なので、無鉄砲な面があり、事件の引き金的な行動を起こしてしまう。

襲い来る進化したゾンビの群れにはバリケードは無意味で、応戦を余儀なくされる。
家での防衛戦は攻められっぱなしかと思いきや、敵の特徴を逆手に取って反撃に出たりと多様な展開を見せて飽きない。

特に地下(ルー)、1階(パトリック)、2階(ジャック)に分かれ、別々にゾンビに襲われる場面は最高にスリリング。
アクションシーンは終盤にギュッと凝縮されているので内容が濃い。

ジャック役のジェフリー・ドノヴァンは、海外ドラマ『バーン・ノーティス』の主人公マイケル役だった人。
ドラマ当時もスマートな印象だったけど、本作ではさらに痩せこけて別人のよう。
役作りのために痩せたんだろうか?だとしたらすごい役者根性だ。

パトリック役のマシュー・フォックスは、海外ドラマ『LOST』の主人公ジャック役の人。

と、有名海外ドラマの主役二人が共演という、5年前なら驚きの豪華な俳優陣。今だと誰か思い出すのにちょっと時間が掛かる(笑)

ルー役のクイン・マッコルガンは『フライト・ゲーム』に出演している。

雪と氷に覆われた誰もいない都市の幻想的な風景がとても印象的。
派手なアクションはないけど終盤はスリリングな展開もあるし、ホラーでこれだけドラマがあれば十分じゃない?

ハーモニー・オブ・ザ・デッド(原題:Extinction/2015年/スペイン・ハンガリー)

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