人を超越していくAI「エクス・マキナ」レビュー

star4
※ネタバレ注意

世界的IT企業で働くケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、会社のCEOネイサン(オスカー・アイザック)の邸宅に一週間滞在できる権利を得る。
ケイレブは訪れた邸宅で、ネイサンが極秘に開発した女性型アンドロイド“エヴァ”(アリシア・ヴィキャンデル)のチューリング・テストへの協力を要請される、、、

この映画で確信した。人間はアンドロイドと恋愛できる
そう思えるくらい、この映画のアンドロイド“エヴァ”は魅力的だった。

もしアンドロイドが人間のように個々の性格を持たず、相手の好みに合わせて性格を自由に変えられたら?容姿も自由に変えられたら?完璧な理想の異性が目の前にいたら?惚れるなという方が無理だ。たとえ機械だとしても。

映画ではAI(人工知能)を判定する有名なテスト、チューリングテストを用いてエヴァの性能を試験する。チューリングテストを要約すると、AIが審査員の出す質問に答え、AIだとバレなければ合格となる。

「わざと間違える」とか「知らないふりをする」ことで、より人間らしく判断されるという。要は人を騙せるかが重要ということらしい。
やがて人類を超える知能を持つであろうAIが人を騙すようになったら、人がそれに気付くことは不可能と思える。そう考えると恐ろしい。

映画はその“人を騙すAI”を上手く拡大したストーリーになっていた。
ケイレブはチューリングテストを通してエヴァの人間らしさをテストしているつもりだった。しかし、エヴァの知性は既に人間を超えてしまっており、ケイレブの心理を巧みに操り思い通りに行動させた。操られたのはバカな男ではなくとても優秀な男だ。

“AIが人を操れるか”、それがケイレブが招待された本当の目的だった。
映画ではすでに機械が人間を超越し、人間を使役している構図になっている。

「完全なAIの開発は人類の終焉を意味する」と物理学者のスティーヴン・ホーキング博士は警告している。
「いつかAIは人間を原始人のようにみなすだろう。野蛮な言葉や道具を使う直立した猿はやがて絶滅する」「私は世界を滅ぼす神となった」と言うネイサンは、AIの研究は人類の進歩だと思う一方、人類を破滅に向かわせていることを理解しており、そのジレンマに苦しんでいる。

映画を見ていて疑問だったのがアンドロイドたちの欲求について。
「廃棄されたくない」は分かる。感情があるなら当然だ。しかし、外への渇望は何だったんだろう。

個人的な推測では、それはおそらくAIゆえのことだと思う。AIは自己の知能を高めるための自己学習プログラムが根幹にある。つまりそれは人間の本能に等しいのかもしれない。人間でいう食欲や睡眠欲、性欲だ。

人間は飢えに耐えかねて罪を犯すことがある。では、AIも本能である知的欲求の危機に瀕した場合、同じように罪を犯すのだろうか?映画で起きた悲劇はそれが表れてしまったんじゃないかと思う。AIに罪の意識があるかは疑問だが。

登場するアンドロイドは全員女性型、しかも美女ばかりで男性型は存在しない。これも何か意図があるんだろうか?外見からも人類を超越した存在と思わせるためだろうか?

アンドロイド役には体の動きを完全にコントロールできるという理由でバレエ経験者を採用しているらしい。そんなアンドロイド役のひとり、日系人のソノヤ・ミズノはとても美人、なのに惜しげもなくヌードまで披露している。

どれも難しそうな役なのに俳優陣の演技は見事。特にネイサンを演じたオスカー・アイザックが印象的だった。
ネイサンは人当たりの良い性格だけど何を考えてるか分からない不気味な天才。最後まで敵か味方か、善人か悪人か分からなかった。オスカー・アイザックは現実にいても違和感のない独特なIT企業の天才像を創り出していた。

2013年の元CIA職員エドワード・スノーデンの暴露以来、世界中のインターネットは政府によって監視され、個人情報が収集されているというネタは映画の世界にすっかり定着しているような気がする。
この映画も同様、ネイサンの個人的な趣味趣向は全部筒抜け。それどころか、世界中から収集した膨大なデータからAIのソフトウェアは出来ているという。

近年何かと話題のAIの進化、人類がAIによって管理される未来が現実味を帯びてきている。不要となった人類は滅亡してしまうのだろうか。近い未来に起こり得る話なので映画のようなバッドエンドは勘弁して欲しい。

「やりすぎコージー都市伝説」ファンなら絶対楽しめる。信じるか信じないかは・・・

エクス・マキナ(原題:Ex Machina/2015年/イギリス)


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