オープニングで、生きたニワトリが屠殺されチキンナゲットになるまでを見せられる。
ベジタリアンになろうかと思ったくらいショッキングな映像だった。
ニューヨークで小説家志望だったクリントは、地元に戻り母校の小学校で臨時教師となった。
そこで元同級生のルーシーと再会、意気投合する。
クリントは最初の授業で、女子生徒が男子生徒に噛み付くという異常な事態に遭遇。
教師たちが気付かない間に、子供たちに感染は広がり学校はゾンビだらけに。
学校に閉じ込められたクリントは、曲者揃いの教師たちと協力して学校からの脱出を目指す…
とにかく第一印象は、キャラが濃い。
主役のクリント(イライジャ・ウッド)は、自分の書く小説のことで頭がいっぱいで事態に集中しない。
クリントの元同級生のルーシー(アリソン・ピル)は、比較的普通だがキレると恐い。
ウェイド(レイン・ウィルソン)は、性格悪めな体育教師でなぜか発音できない単語がある。
ダグ(リー・ワネル)は、コミュ障で空気が読めない。やたら病気に詳しい。
他のにも、ゲイっぽいのやらヒステリックなのやらでまともな教師はいない。ちなみに用務員のおじさんはカンフー使いだったりする。
あんな教師たちしかいないなんて、子供たちが不憫に思えてくる。
個性的過ぎるおかげで登場人物の整理は容易だった。
特にレイン・ウィルソンのキャラが立ち過ぎていて、濃い目の登場人物たちの中でもひと際目立っている。出演作は多くないみたいだが、もっと見てみたくなる俳優だ。
ドラマも退屈しない。
クリント、ルーシー、ウェイドの三角関係。次第に結束が深まっていく教師たち。
最初はただの嫌なやつだったウェイドも、終いにはカッコいいと思えるようになっていたりする。
短い授業の場面から、アメリカの学校教育が抱える問題が垣間見えた。
イジメ、授業妨害、スマホ、注意しても逆に教師を脅したりと、起こっていることは日本と変わらない。
しかしその問題を描写しておきながら、それに対する教育的なことがないのはマイナス点。
生意気な生徒がゾンビになって、最終的にやられてざまあみろではダメだろう。
作品からのメッセージ的なものはなかった。
この映画のゾンビは徘徊して襲うだけのゾンビではない。かなり知能が残っている。
電話線を切ったり、電気を止めたり、会話を盗み聞いて先回りしたりする。
その行動はまるで、『スクリーム』や『ラストサマー』の殺人鬼みたいである。
身体能力もゾンビになる前より高くなっている。子供なせいか、耐久力は低め。
映像はライトだが、身体が引き裂かれたり内蔵が飛び出たりとグロ描写はキツめ。
子供たちが、バラバラにした死体で無邪気に遊ぶ場面は人によってはトラウマもの。
子供ゾンビがグロいことをする一方で、子供ゾンビもグロいことになる。
顔を潰されたり、車ではねられたり、燃やされたりと大変なことになる。
子供たちは軽傷で感染していいるので、見た目は顔に少し血が付いている程度でフレッシュ。
だから、普通に子供が虐待されているように見える。
アメリカってこういうのうるさくなかったっけ?とふと思った。
特に生意気な問題児は執拗にやられる。
子供に容赦ないあたり、製作者(イライジャ・ウッド)は子供が嫌いなんだろうか?
子供だけがゾンビになる説明も納得のいくもので、ツッコミどころは少なかったように思う(※キャラ設定を除く)
コメディ色が強いので、爽やかにゾンビ映画を楽しみたいときにオススメの映画だ。
イライジャ・ウッドに向かって「ホビットかよ」のツッコミはウケる。
ゾンビスクール(原題:Cooties/2015年/アメリカ)