末次由紀原作コミックの実写映画。上の句と下の句の二部作。
千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)の3人は競技かるたを嗜んできた幼なじみ。新が転校することになり、3人は「かるたをしてればまたきっと会える」と約束を交わす。
高校生になった千早は、太一と共に瑞沢高校競技かるた部を設立し全国一を目指す…
熱い。セリフが熱い。
「青春全部かけたって勝てない?かけてから言いなさい」
名言過ぎ。
「才能なんて俺だってねえよ。逃げたいけどやってんだよ」
熱過ぎ。青春過ぎ。
友情・ライバル・恋。
疑いようもなく王道スポ根。むしろ作者が女性というのが疑わしい。実は体育会系の男なんじゃないかと思う(笑)
まずはマイナー競技映画の定番、部員集めから。
部員が集まれば試合があり合宿があり、仲間割れを乗り越え勝利へと、展開もまさに王道。定番。
こうテンプレな展開だと退屈より安心感のが強い。
ストーリーが定番となると、面白さの秘訣はやはりキャラクターにありそう。
登場キャラクターは皆個性が強くいかにも漫画的。ただ個性的なだけでなく、それぞれ違う魅力を持っていて、キャラクターに二面性があるのが特徴的。
一見迷いのなさそうな千早は実は芯がブレていたり、太一はズルい面があったり、新は道を見失いやすかったり、他にもただのムードメーカーでない肉まんや、敵に塩を送るライバル校の主将、クイーンのファッションセンスなどなど。
キャラクターが活き活きしているように感じられた。また、ストーリーにおいて果たす役割がしっかりあるので、誰一人として不要と思える人物はいなかった。
競技かるたの魅力を教えてくれるのもこの映画の良いところ。
かるたを通して和の文化の良さを改めて気付かせてくれたりもする。袴姿でするかるたの美しいこと。
普段は元気いっぱいなのに試合になると凛々しくなる広瀬すずのギャップに完全に心を奪われた。
千早は痛いとも思えるキャラ。それを恥ずかしげもなく全力でやりきった広瀬すずは見事。
全体的に若い俳優が光っていたのが印象的。
太一役の野村周平は、たまに演技がクサイけど甘過ぎずキツ過ぎずいい感じのバランスだった。どうしても高校生には見えない。
新役の真剣佑は、難しい方言の役ながら安心感があった。なんとアクション俳優の千葉真一の息子。
その他にも、クイーンらしく威圧的な雰囲気を感じさせる松岡茉優。
ムードメーカー的な役割を好演したかるた部部員の矢本悠馬、森永悠希、上白石萌音。
映画『君の名は。』のヒロイン三葉役でもある上白石萌音はやたらいい声でかるたを詠む。
どの試合も熱かったけど、個人的ベストは上の句ラストの太一とライバル校主将須藤の優勝を決める“運命戦”、太一が覚悟を決めた瞬間は鳥肌モノ。
上の句/下の句を合わせると3時間半の長編だけど全然物足りない。続編が決定しているので待ち遠しい。
ちはやふる(2016年/日本)