ちょっとキャプテン冷静になって!「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」レビュー

star4
※ネタバレあり。

アベンジャーズの活動によって一般市民までが被害に巻き込まれていることが国際的な問題となり、「ソコヴィア協定」の締結によってアベンジャーズは国連の管理下に置かれることに決定した。

それを承諾した「アイアンマン」ことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)とは対象的に、「キャプテン・アメリカ」ことスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は強く反対する。

そんな折、「ソコヴィア協定」締結の式典がテロに襲われる。その事件の犯人がスティーブの親友「ウィンター・ソルジャー」ことバッキー(セバスチャン・スタン)であると判明。バッキーの事情をよく知るスティーブは、アベンジャーズを裏切りバッキーを助けしてしまう。

それが決定機となり、アベンジャーズは協定の賛成派と反対派の二組に分かれ、互いに激しく争う事態に発展していく、、、
というストーリー。

う~ん。みんな感情的過ぎな気がする。そして頑固。

協定によって、アベンジャーズの活動を制限されたり強制されたりという懸念を訴えるスティーブの言い分も分からなくはない。

しかし、たとえ賛成したとしても、いざという時は超法規的に活動したらいいじゃない?そんな胸熱展開あってもいいんじゃない?と思ってしまう。

スティーブは規律にうるさい軍人さんだし、融通の効かなさそうな性格してるもんね。

「みんな信じるわけない、自分達でやるんだ」という話し合いさえ拒絶した独りよがりで、終始暴走しっぱなしなのでかなりタチが悪い。
おまえリーダーだろ?仲間を信じないとか最低かよ!次回から名前のキャプテン無しな?

そんな身勝手な現リーダーとは対象的に、元リーダーのトニー・スタークは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で盛大にやらかしたのを反省したのか以前よりだいぶおとなしい。暴走気味のスティーブを説得するという以前とは逆の役回りだ。

アベンジャーズはいつもリーダーがチームをかき乱すのはなぜ?
リーダーに相応しい人いないのかな?
いつも冷静で思いやりのある「ブラック・ウィドウ」ことナターシャ・ロマノフのが断然適任そう。

今作では、スティーブのトニーに対する信頼のなさが見事に浮き彫りになった。それが表れていた大きな出来事が二つあった。

まず一つ目は、トニーは協定の内容について後から変更を申し出るようなことをスティーブとの会話で言っている。おそらく協定を承諾しながら、うまく立ち回ってあまり干渉を受けずに行動することまで計算していたに違いない。現に、劇中でもロス長官の指示をうまく誤魔化し続け、スティーブの援護に向かっている。

信頼関係があれば、そんなトニーの考えを見越して協定に承諾していたはずだ。

二つ目は、バッキーが両親を殺害した仇であると知ったトニーが彼に襲い掛かった時、スティーブはバッキーを守るために全力でトニーと争ったが、はたしてトニーはバッキーを殺すつもりがあったのだろうか?

憎い仇であることは確かだ。しかし、トニーが過去の事件を知らないはずはないだろうから、洗脳があったことは知っているだろうし、スティーブの親友であることも分かっているだろう。

なので、気の済むまで痛めつけることはあっても、命まで奪うようなことはしなかったはずだ。トニーはそこまで感情を抑えられない人間ではない。

しかし、そんなこともスティーブは分からなかった。

「相容れない人間同士は結局どちらかが去るしかない」と誰かが言っているのを聞いたことがあるが、映画はまさしくその通りとなってしまった。

『キャプテン・アメリカ』シリーズの最新作ということだが、実質アベンジャーズの続編という感じの内容だった。
というのも、「キャプテン・アメリカ」ことスティーブ・ロジャースが主役であるという感じは薄く、「アイアンマン」ことトニー・スタークの存在感が大きく、いつものアベンジャーズと同じ雰囲気となっていた。

超一級品のアクションは今作も健在。キャラクターが多いのにきっちり全員もれなく見せ場が用意されているのには驚愕としか言いようがない。

特に新参戦のスパイダーマンとアントマンが良かった。今まではシリアスキャラが中心だったので、コメディキャラの参加は大歓迎。今後も出続けて欲しい。

スパイダーマンはリブートされる度にキャラがどんどん陽気になっていく気がする。
トビー・マグワイアが演じた『スパイダーマン』のキャラとは程遠い。
重い過去がある設定のはずなのに、今作の彼からはそんな雰囲気はまったく感じられない。
お調子者で先輩ヒーローに注意されながら戦う今作のキャラは過去のものに引けを取らない。

新登場のブラックパンサーはまあどうでもいい。キャラが弱くてつまらない。

ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)の出番が多いのも良い。美人は大歓迎。

どんどん登場キャラクターも増え。歴史が出来上がっていくマーベル・コミックの実写映画シリーズ。
こんな楽しみが今後も続くのが素直に嬉しい。

今作の監督を務めたルッソ兄弟はアベンジャーズの新作(二部作!)の監督も予定されている。これは期待できる!

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(原題:Captain America: Civil War/2016年/アメリカ)


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